kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

kow@suhtio、2018/02 を追想する

今月は自由になる時間が多かったので、自分の乱れ倒した生活を律することを考えて計画をたてた。14歳の春休みでレボリューションが起こって来年は15歳になるんだと、そのぐらいの意気込みだった。
結果は、自己採点で72点というところ。よくできたほうだと、むしろ高すぎる点数だと思う。

2018/01 までの問題

  • 1年近く、同じ毎日を繰り返していた。新しい日がほとんどなかった。
  • Amazon プライムに生活をすべて支配されていた。
  • 去人たちの作業が一切できていない。
  • もろもろの精神変調。すぐに泣く。癇癪を起こす。音声チック。無関心。無気力。些細なことへの恐怖心。
  • 酒が飲めない。飲んでも吐く。
  • 技術書があまり読めていない。技術交流ができていない。
  • 小説を読めていない
  • 人文系の本を読めていない。
  • 味覚鈍磨。料理をする気がしない

単語にすると、ちょっと盛ってるかな、という気もしないでもないが大げさ過ぎるというほどでもない。引き受けて問題なかろう。

どう律するか

計画をたててそれの通りに実行する、というシンプルな対処を考えた。面白みないし、柔軟性や自主性が養われないんだよね。でもいいんです。ここまで怠惰に陥った人間はいきなり自主性をもった、主体的な人間になるわけなんだから。自分に対して命令してその通りに動くかどうか、やってみるしかないんです。どうせ、さび付いて動かないし、動いたとしても電池の切れかけたファービーと同じ動きしかできない。
まずは命令という形で自身を律する中で、主体性を恢復させる。つまり、計画について疑問を抱くなり、反抗するようになれるといいかなと。そこまでいけば、あとは自動的に転がっていくはずだと、というのが狙いでした。

「命令」的に処理しようとしたこと(計画したこと)

  • 去人たち RebootCamp #001 の実施
  • 記事は1日1投稿
  • 自宅にある本を電子書籍化して、最適な電子書籍を読む環境も構築する
  • 治療
    • メンタル
    • デンタル
  • 崩壊した家事の立て直し
    • 数年分の大々掃除
    • 自炊
  • 自転車 400 キロ / 月
  • ハイキングする
  • うまいものを食べに行く
  • ヤマシタさんに会いに行く
  • 小説・技術書よむ
  • 勉強会に参加する
  • Amazon プライムビデオは1日1時間
  • ゲームは1日1時間

できたこと!!

去人たち RebootCamp #001 の実施

計画に対する実績はぐだぐだだったんですか、計画とは別にぐっとできる体験だったので良かった。同人開発とは別次元だけれども、一人で何かをする、ということを肌感覚で体験できたことは良いカウンターになった。すべての決断は自分に責任があってなんの言い訳もできないし、ミスったら自分が面倒なことになる。自分はミスを犯しやすいし、柔軟性が不足しているとか勉強になりました。

家の本を、電子書籍化して、最適な電子書籍を読む環境も構築する

比較検討もそこそこに、bookscan に定額サービスがあったので即決しました。各社の自炊サービスオプションでいろいろ選べて自分の望む形式に絞れば費用は抑えられるのかもしれない。けど、電子書籍はどうやったら読みやすいか、どのように読みたいかもぼんやりしている段階ではオプションを絞り込むことをできない。そこで、bookscan の定額サービスで悩んでいる時間を先送りにした。一冊あたり 200 円なら判断停止しても十分いいと考えたわけです。自宅の本を減らして居住スペースを簡素化しないと維持コストが高すぎる。

治療

病院は時間がないとなかなかいけないから行けて良かった。

崩壊した家事の立て直し

大掃除を実施できた。捨てまくった。ただ部屋が汚いだけなら改善しようとしないのは当然だと今でも思う。悪臭なり虫がわくなり生活スペースの枯渇なりがあればデメリットがあるのですぐにでも改善するだろうけど、そこまでってなかなかならない。雑然とした部屋がカオスで嫌だな、というかなり高等な動機を頼りに大掃除実施できたのは人間性を徐々に恢復しているからだと思う。
自炊はお米炊いて、炒め物をするぐらいまで。カレーぐらいはつくりたかったけど……

自転車 400 キロ / 月

去人たち RebootCamp #001 を自転車輪行していったのが効いた。ひきこもりがちだったけど、ほぼ達成できているのはよかった。本当は 600 キロ目標にしたかったんだけど 400 でちょうど良かったとおもう。運動する時間を計画することで、生活リズムができたのが一番よかったかなと。

ハイキングする

箱根の雪山ハイクが楽しかった。雪解けの泥濘には苦しめられたけど、山中を一人でしゅっと歩くっていろいろ忘れられる。世界は自分一人しかいないんだぜ、その瞬間は。

うまいものを食べに行く

ほんとうはまだまだ食べ足りないけど、相当贅沢してたべまくったのでこれはこの辺で満足しとけってやつ。うーん、でもカレーはまだ食べ足りないし、お酒もたりないんだけどね。ヤマシタさんにご馳走になったのがもっとも贅沢だった。

ヤマシタさんに会いに行く

村上春樹河合隼雄に会いにいくのと同じぐらい、どうでもいいと思いますが、会いに行きました。イエイ! お酒がもっと飲めると良かった。年相応にきちんと飲んでしまった。残念。(それはいいだろ……)

勉強会に参加する

「ふりかえり」を強引に勉強会に昇華させました。時間があまりとれないな~と思っていたので、「去人たち RebootCamp #001 」の報告会と一緒にやってしまおうっていうのは良かった。目的がブレちゃったかなとも、思うけど、たいした内容なかったし、やったことの方がでかい。次にも繋がるし。

できなかったこと... orz

記事は1日1投稿

継続は力なり。1日15分でいいから原稿と向かい合う。空白の記事を見たときのプレッシャーを毎回感じ、なんとか文章にしている。空白っていうやつは本当にすごい。空白を目にした瞬間、自分には何かを書きたいなっていう気持ちがないという無能と向かい合うことになる。去人たちを作ることができるんだろうかという不安が押し寄せて逃げ出したくなる。いつの間にか、背負ってるのかな……。
記事を書くのは「しんどさ」がつきまとうことが分かった。投稿間隔が問題というわけではない。何かを書くなら読んでもらいたいけど、興味深い記事なんて書けない。興味深いための記事を書くのも違う。退屈な自分が書く退屈な文章ってゴミを作り出してようなもん。
まあ、このぐらいネガティブにもなりますよ。誰かを比較して読まれている読まれていないをやりたいなら、もっと価値のある文章のために技術を磨くしかないし、ただの一人ごとなら誰かと比較するのはやめたらいい。まずは、読まなくてもいいから書き続けようと思っています。
来月からは週1で記事投稿を推奨と決めています。読まれるようになるという目標をたてないと、継続できないだろうと今は考えている。

小説・技術書よむ

積ん読の書籍があるので読みたかったけど読めなかった。「読む」という行為がそうとう過去に忘れてしまっていて習慣化困難な状況であることが分かった。小説の場合は、これを読めば何かを解決できるというものではないので、そこがモチベーションに関わっているらしい。無数の課題を抱えて時間に追われていると、モチベーションの低いタスクは無視される。強制的に読むことも試したが、気が散って文字が追えなかった。うーん、ちょっとまずいな。短編小説なりに切り替えて試してみたい。

Amazon プライムビデオは1日1時間

最大の敵だった。自宅でご飯食べてるときになんとなく流していると、そのままだらだらと見続ける。思考停止すればいつまでもみていられる。くりかえし、なんどもなんども。個が喪失されて、装置として組み込まれる。Amazon プライムビデオであたしは家畜化された。わずかなお金を上納して Amazon サービスを拡大させるための末端装置だ。
ほんとに、「あー、暇だなあ」って言わなくなった。

ゲームは1日1時間

平均すれば達成できているのだとはおもう。 Amazon プライムビデオによって無脳化された人間にはアドベンチャーのぽちぽちすら難しいということを知った。動機を失った人間にゲームをプレイさせることはできない。

まとめ

Amazon プライムビデオが最大の敵のなかでまずます上手くやったかなとおもう。作業しながらAmazon プライムビデオをみるとか少しずつAmazon プライムビデオから脱出しなければなりません。ツールをつかってドメインをブロックするとかペアレンタルコントロールをつかって特定の時間は見られないようにするとか。アルコール依存、ドラッグ依存と同じレベルと考えてよろしいだろう。まずは強制的にアクセスできないようにするというのがファーストステップだ。量を自分でコントロールするのはそのずっとあとで。
これからは自分がコントロールしているんだという錯覚を与えながら、コンテンツを消費させるビジネスが流行するんじゃなかろうか。うまいサービス設計だよね。誰かにそうと分からないようにコントロールしてほしいんだよ、ぼくたちは。
ぼくたちはとにかく不幸。

同人ゲームサークル運営で学ぶ「ふりかえり」発表してきました(ネットで)

K2Cee の同人ゲーム開発が危険なレベルまで悪化していたのでアジャイル開発、スクラム開発的な「ふりかえり」を K2Cee 開発でもやってみたよ、という話です。
ネットで同人ゲームを開発するときの強いチームってなんだろう、という思考実験もしています。(実績ないです)

www.slideshare.net

自分の声が鳥肌モノで気色悪いし、滑舌悪いのが本当に耳障りだし、音響環境もひどいなあと。
目を背けて耳を塞ぎたい。もういやだ、消したい。
だが、あえて拡散する。黒歴史化するまで公開する。後悔する。
かっこ悪くていいじゃない。

去人たち月例生配信 2018年02月23日 21:00 ~

久しぶりに去人たちの生配信をします。
Youtube Live とニコニコ生放送の両方で同時配信予定です。

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同人ゲームサークル運営で学ぶ「ふりかえり」

生配信予定日時: 2018年02月23日(金曜日) 21:00 ~ (1時間程度)
登壇者: kow@suhito だけ!
Yotube: 去人たち - KYOJINTACHI - YouTube
ニコ生: 美の去人たち-ニコニコミュニティ

配信についての経緯とか補足とかもろもろ

で去人たちプロジェクトを再起動させるのじゃ! と意気込んで、
「去人たち Reboot Camp #001」
とやらか勝手に一人で主催して、勝手に一人で人里離れたところで合宿みたいなことをしてきました。
別途、記事にしてあります。

【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――準備編 - 去人たち開発ブログ
【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――1日目 - 去人たち開発ブログ
【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――2日目 - 去人たち開発ブログ
【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――3日目最終日 - 去人たち開発ブログ


去年の夏頃、心身疲労がひどい状態で
「もう、去人たちなんて作ってられっか! やめてやるやめてやる絶対にやめてやるやめてやる絶対にやめてやるこんどこそ絶対やめてやる……」
みたいになってました。
半分正気失ってたんで
「去人たちをやめますか? 人生やめますか?」
なとど頭の中で勝手に二者択一を迫ってた訳です。
去人たちやめないってことは、人生やめたことと実質かわらなんじゃねーかよ、この間抜けめ、という気づいて人生放り出してロスサントスに行っていたんですが、ロスサントスはロスサントスでクソ野郎しかないという点ですがすがしいんだけどクソ故に美しすぎるという歪んだ世界に辟易して向こうの生活を捨ててまた戻ってきた、という訳なんです。
まあ、よくある話なんですけどね;;

人生やめてみたけどだめで、目の前にあるのは「去人たち」だけだったんでどうしようかなと思ったんですが「やる前提で前向きに検討しよか」ということになりました。
ただ、自分の思考がめちゃくちゃなままだったので、気分転換も含めて静かな場所にこもりたいなと。
それが、「去人たち Reboot Camp #001」です。

去人たちプロジェクトをやめたいっていうより、まともにつくれない自分の能力とか周辺の様々な環境とか、いろいろ嫌になっていたというところが大きかったと思っています。
時間が経過していくたびに自分が消えていって何もなくなる気がして、主体としての生き残り戦略を慌てて立てた。ゴミみたいな自己顕示欲の塊になった私は去人たちをそれのはけ口にしようとしていたのだと思います。去人たちをレイプつもりで事に臨んでも、相当な勇者じゃなきゃ達成できないっていうのは分かってたみたいで、すっかりしゅんとなって萎縮してたんですね。象徴としてのファルスの話じゃなくてね。

話があさっての方向に行きそうなので修正。今回の配信の補足です。
前にスクラム開発についてまとめました。そのなかのふりかえり(レトロスペクティヴ)を去人たちのチーム運営に適用してみたよっていう話になります。

k2cee.hatenablog.com

スクラム開発の経験はありますが、スクラムマスターでもないし、うまく使いこなせた経験もないので「試行錯誤してみたよ!」とか「こうやったらうまくいくんじゃね?」的なゆるい発表になります!
ダメ出し、ツッコミも大歓迎です!


Twitter のほうもよろしくお願いします~

【去人たちRebootCamp#001】 決めたこと

前述の通り、キャンプに行ってきた。

【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――準備編 - 去人たち開発ブログ
【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――1日目 - 去人たち開発ブログ
【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――2日目 - 去人たち開発ブログ
【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――3日目最終日 - 去人たち開発ブログ

日常を離れ、雑念を捨て、自分と向き合うことができればと思っていたけど思い通りにはならない。
でも、それでも良しとする。苦行を押しつけられてそれをクリアすることがいい作品を作る条件なら、そんな作品作らなくていいやと思うんです。

去人たちRebootCamp#001 で決めたこと

アクション 解決したい課題
去人たちZEROのシナリオを小説に書き起こす ・シナリオや世界観などの説明が実物があるので具体的にイメージしやすい
・メンバー募集のとき具体的なイメージを持ってもらいやすい
去人たち or K2Cee のメンバーを増やす ・多様な価値観の中で創作意欲を刺激する
・kow@suhito のやることを減らす
・制作の速度を上げる
・創作を楽しむ
プロジェクトをに余裕をもたせたスケジュールを立てる ・継続的なインプットが創作には必要
・忙しすぎるとプロジェクトが息切れする
・これまでもスケジュール通りにならなかった
・納期に追われてやらされてる感だけになってしまう
1つのリリースボリュームを小さくして四半期(仮)ごとになんらかリリースできるようにする ・長大な作品をつくってリリースすると不安になる
・方向転換がきかなくなる
・先が見えなくて心が折れる
・リリースによる継続的な達成感
・アウトプットによる定期的なフィードバック
・アイディアの消費期限切れが早い
企画段階、開発段階において新しい技術へのトライを推奨する ・メンバーの向上意欲を支援する
・娯楽としての創作を続けていきたい
情報をもっとオープンにしてメンバーに共有する ・kow@suhitoが思いつきで作業をする
・メンバーがただの作業者になってしまう
音声MTGSkype等) を積極的に活用する ・効率よく意思疎通ができて作業時間を圧迫しない
・よりコミュニケーションが近いので信頼関係を強くできる
進捗管理や情報共有のツールを活用する ・物理的な創作空間がないので非同期コミュニケーションで認識のずれを減らす
SNS を定期的に更新する ・ファンを増やしてもっと「去人たち」をしってもらう
・去人たちのダウンロード数を増したい

たくさんのアクション候補がでてきたのですが、あたしにとって効果が高いと感じたもの、やってみたいと感じたものをピックアップしました。本当はもうちょっとアクションを絞りたかったんですが。
一番大きい課題は「しんどさ」をどうなくすか、という点です。趣味でつくってんのに「しんどい」ってどういうことかと思うでしょうが、あたし自身も全くその通りだと思ったんです。何かを成し遂げるためには「しんどさ」は必ずつきものなのだ、という思い込み自体があるんだろうと気づきました。今回の Reboot Camp もまさにそうで、静かで雑念のないところで作業で集中して作業をしたいという目標なら、自転車なんてつかわなくていいし合理的な交通手段でいけばいいんですよ。開発していると少なからずしんどい局面がでてくるけど、ベースがしんどくてひたらすらしんどいんじゃあ、継続的に作り続けることなんてできない。
しんどさの原因の1つに去人たちのボリュームがでかすぎる問題があるので、細かい単位でリリースできるようにしようと思います。それを実現するための仕組みはどうするんだ、という点については何もアイディアがない状態ですが。リリースを早くすることで、開発側としてははやめに方向性の確認ができることと、ユーザのフィードバックを得られるという点は不安感を募らせながら何年も作るよりも良くなるだろうと。一方で、ため込んで練り込んでいくことで出てきている「去人たちらしさ」のようなものあるのではないかと考えましたが、実際やってみたあとでどうなったかを見てみようと思います。

K2Cee なり、去人たちプロジェクトのメンバー募集についてはこれから詰めていきたいです。K2Cee は純粋に創作を楽しみたいんだ、という人でないと難しいと思います。果たしてそういう方がどのぐらいいるかと考えてしまいます。純粋に創作をするんだ、となっても数ある同人サークルの中から、売上もありネームバーリューもあり……という順に探していったときに去人たちは何かささるところあるかな、というのは正直なところです。うーむ。自信を持って言えるのは、抜きに出て気が狂っているというぐらいかな。
どのようにメンバー募集を進めて行くかの具体的な話はもうちょっと先になるかなと思います。

去人たちプロジェクト、少しずつですがまた歩き出しました。

【去人たちRebootCamp#001】 合宿日誌――3日目最終日

 最終日。成果が求められる日だ。旅を堪能して、申し訳程度の去人たち要素が罪悪感を抱く。もうね、この程度のことで罪悪感抱くとかなんだよと思うんだけど、自分ルールって本当に邪魔だ。誰に迷惑かけてるわけでもないのに、思い描いたイメージに付けづけないとイライラし始める。ものづくりでは良いのかもしれないけど、理性にコントロールされない我の部分ってもうね、手に余るんだよ。
 などと、ぼやいていても仕方ない。去人たちの振り返りをしていて意識が内向しているんだろうなあ。

 日がのぼってくると活動開始。洗濯、掃除、薪割り。氷点下の寒さでもきちんと着込んで少し動けばちょうどいい。風がほとんどなかったことに助けられたかもしれない。

 今日は朝からきちんと作業しよう。ひなたぼっこしながら作業開始する。
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 1時間ほど集中して作業する。雑念が入り込むことが多い環境と自分自身の精神状態が散漫な状態が続いていたので、久しぶりに集中したという感覚が新鮮だった。
 少し幸せな気持ちになって、作業の手をとめる。湯を沸かして紅茶を飲む。景色をぼんやりみている。壁を見ながら、象徴的なところにキャンプにきてしまったな、とか、進撃の巨人ってどうなったんだろうなとか自由に連想する。ここ数年、この短く断片的な連想が頻繁になって一貫して深い思考を阻害していた。昔もあったのかな。ただ、集中できただけなのかな。多種多様な情報に触れすぎて、どれも同じぐらいに興味を失ってしまったせいかな。昔は一つのことに強い興味があったからかな。
 昔はよかったのかな、本当に?

 そんな風にしりとり連想法的にシナプスを活動させていると時間があっという間に過ぎる。
 いったん、頭からっぽにしよう。すぐそこに坂があるって本当に良い環境だなあと思う。山道は信号もないし、ペダル回した後はいつもと違う景色がある。

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 つかの間のサイクリングを楽しんだ後はキャンプ地に戻って作業をする。頭の中の腐ったキャッシュはクリアされている。
 どうして、去人たちをつくっているんだろうな、去人たちをつくっていてよかったこと、悪かったこと、どうしてよかったのか、どうして悪かったかを延々と考え、ときにはイマジナリーフレンドと議論しながら。

 総括すれば、振り返りでいろいろな洞察は生まれたけど、今回の Reboot Camp では大きな宿題が残った。
 どうして、去人たちをつくっているのか。
 いやだったり、しんどかったりするんだったら作らなければよい。迷惑をかける? ファンが何千人、何万人いるわけでもなし、もちろん頭を下げないといけないといけないこともあるけど、言ってしまえばその程度のことだ。

 どうして、去人たちをつくっているのか。

 という問いは、メンバーにもうまく説明できていない気がする。そのときは面白そうだから、とはいえるけど、そこから先を深掘りするのは少し危険な気がしていた。Reboot Camp でこの問題にたどり着くのはどこかで分かっていたのだろうけど、ずっと後回しにしてきたことでもう回避できないところまで来たんだと覚悟するしかった。面白そうだから作っているんだというもっともらしい理由は今は使えない。面白くもないのにまだ作ろうとしているのを認めないと。やめるにしても、方向転換するにしても、自分が何をしようとしているかを知る必要はあるんだろう。こういうときに、イマジナリーフレンドは役に立たない。イマジナリーフレンドは主体を持たないのかも。

 これが小説なら、太陽がまぶしいという理由で象徴的な壁を爆破して村を一つ崩壊させたテロリストは幸せなキスをして物語は終わるんだけど、残念! これは終わらない夢なんだよね。
 寒さに震えながら焚き火をする。あたりは静まりかえり、虫の音すらしない。薪がしゅうしゅう言いながら炎をあげる。見上げると星空がクリアに広がる。いろんなものとの距離感が曖昧になっている。でも、これならもう少し歩けるかもと思ったりした。