kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

去人たちプロジェクトの解体・再構築について

コミケ79にお越しいただいた方、大変ありがとうございました。

たくさんの激励、カンパをいただき、深く感謝しております。

また、幾万という作品の中で去人たちという作品を手にとっていただき少しでも記憶していただけるのならば、それだけでも去人たちは確かに在るかもしれないという実験は成功になるのかもしれません。

といっても、実験はたいしたことではないのだけれど。

静的なテキストではゲームにならなかった――現時点での実験失敗はいつまでも失敗し続けるわけでもないかもね!



コミケ79で頒布した去人たち―概念検証―は、プラットフォームにAdobe AIRを採用しその動作検証を行いました。

前々から、Win/Mac/Linuxマルチプラットフォームを検討していて、プレゼンテーション層に優位な開発環境も考慮するとFlashAIRという選択に至りました。

プログラマとしては、心地良く開発できましたし、Adobe AIRにおけるノベルアプリはこれから大いに飛躍していく可能性を感じております。Win/Mac/Linux/Androidマルチプラットフォームは、技術的にコンテンツのリーチを伸ばす最も最初に解決すべき課題でした。

また、去人たち―概念検証―では作品形式についてもっとも原始的な実験――というには大げさで、あまりにも無責任だと思いますが、結局去人がテキストに依存しているなら、今作品を作り続けるわれわれは臍をかんで支えるか、邪魔してやろうと考えました。これは実験ですらないのだから、成功も失敗もないですが、心地良いものでした。結局、調和とか審美的なものとはとことん相性があるい作品のように思います。それか、それが作り手の作風なのかもしれません。あたしゃ、自覚ありませんが。



また、去人たち完全版以降の作品として、去人たち―概念検証―は開発物理面での検証を主眼におき、今後の開発プランを練る必要もありました。

主要開発メンバーkow@suhitoとにちのさんの2人で作り上げるのに試行錯誤で半年以上を要しました。シナリオ、プログラム、背景、キャラクター、演出……なかなか、やることが多くこれまた大変なものです。


kow@suhitoも14さいになりました。もう、子供とはいえません。もう何年も作品を作り続けることはできないか……いや、これからさき、作品をつくろうと欲するならつくりつづけることはできるでしょう。でも、あとどれだけ作品をつくれるのでしょう、そしてどれだけ自分(自分だけ)が満足できる作品をつくれるでしょう。

それともkow@suhitoは14さい以前と、14さい以降に分類される抽象的な意味での多重の開発者になりえるのだろうか? もし可能ならば、あたしは多重な開発者になってみたい気もするし、専業同人作家として、人を唖然とさせ続けるのも楽しいだろう。



<なぜ、この去人をつくっているのか?>


 完全版まで、この問いはそれほど恐ろしいものではなかったし、それに答えられないことを知った上で自信満々に構えていられたのに、今のあたしは、そう訊かれるのが怖くて引き篭っている。



というわけで、開発物理面と精神面で一度、棚卸をしてみようと、ことによっちゃあ、あたしの最後の能力で壊す必要もあるかもしれない。


大丈夫、いずれにせよ、どこかに強行着陸し、また再起動するつもりのです。爆発炎上したって、なんとかなるんじゃないか。いいじゃないかッいいじゃないかッ。

心は子ども身体は大人、14さいなりに考えます。



――実験以後。