kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

6月15日(月)

男女がいる、グループでなにかレクリエーションをしている。リアル脱出ゲームのようなものかもしれないし、オリエンテーションのようなものかもしれない。オレはグループのなかでもなんとかうまくやっている。楽しいとすら思っている。だけどどんどん不安が募る。うまくいけばいくほどオレがこのグループの足を引っ張ることになるのではないかと不安は増す。何かの競技、アトラクションをオレがやることになる。オレは目を覚ます。

身体が心地よく拘束されている。自発的にその拘束を受け入れている。十一時すぎ。二十時間近く布団に寝転がっていた。脳が少ししびれている感覚、眠りすぎの時に感じる感覚。そして珍しく夢を見ていた感覚が脳の左奥にのこっている。空腹を感じる。全てを諦めさせる心地よい倦怠感。すっかり取り憑かれてしまった。オレはあやと心中できない。
起き上がるとパスタを茹でてがつがつ食べる。オレは生きる。身体は動かさなければ多幸感のある倦怠感に支配される。認識は偏向されている。この部屋は世界にまで拡大している。この部屋の外が怖くて怖くてしょうがない。まるで数年間寝ていたような恐怖で、そとは廃墟になっていてオレだけが取り残されているという妄想が笑い飛ばせない。昨日のオレと今日のオレが同一人物だという自信もない。そう思い込んでいることのほうが自然な気がする。しかしこの超感覚は経験したことがないわけではない。調子が悪いときに何度もここから泥沼にはまっている。都市部だと多く匿名の人がいて無差別に遭遇することになるので、この状態で外に出るのはとても恐ろしい。幸いここは田舎である。ほとんど人と遭遇することなく世界観察にでかけることだってできる。冒険のための防具装着儀式。サイクルジャージしマスクをしてヘルメットを被る。そして玄関の扉を開ける。
六月に入ってじめじめとした日が続いている。街は薄い薄い靄に包まれている。あと数日もすればサイレントヒル化しそう。オレが寝ている間に時間か空間か取り残されたのではないかと本当に思ってしまう。曇り空で風は強くひんやりと感じてちょうどいい。羊鳥ヶ岳の周回コースをゆっくりゆっくり走る。海岸に立ち寄り海を眺める。人はほとんどいない。出会う人には無理矢理に人を配置したような気すらする。靄は視界を数キロに狭めている。まるでハードウェア的な描画限界の様相すらある。トゥルーマン・ショーがはじまってしまったのかもしれない。周回コースと海岸を行ったり来たり、獲得標高がどんどんのびる。湿度が高くて汗が乾かない。今日は長く乗りたい。負荷を減らしてゆるゆるペダルを回す。
家に帰ったあとは風呂で汗を流す。結局、今日は現実なのだろうか、誰かの夢に出てきているだけなのだろうか。
腹が減って腹が減ってしょうがない。冷凍ご飯とレトルトカレーとゆで卵で早めの夕食を摂る。明治 銀座キーマカリー 150g×5箱 はうまい。
けだるさが消えて、離人感のみがほんのり残っている。正常ではないが創作には最高の精神触覚の状態。執筆作業をする。お酒を飲んで離人壁に少しだけ穴をあける。ここから見る景色はまだ鮮やか。
眠剤を飲んで寝る。