去人たちを作れなくなったうつ病プログラマーの地方生活日記

創作に絶望すると、世界が反転した日記

6月20日(土)

結局何時に寝たのか覚えていない。スマホのアラームのスヌーズを連打する。あやはなにもせずに、オレがただ起きられるにむずがっているのを面白がっている。
いい加減におきる。九時。朝のルーティンワークを強迫的に終わらせる。良いことだ。コーヒーをいれて外をみながらゆっくりと飲む。ぼーっとすることが苦にならなくなってきたは成長だ。PCの前にいてはぼーっとすることもできない。何かを考えることはできても、ぢつと手を見るようなことはならない。

午前中にすこし執筆作業をする。途中、エアコンの取り付け業者から電話がかかってくる。ヨドバシのサポートからプッシュしてもらった翌日にレスポンスがあるのは期待以上である。工事が混在しているが来月になりますとのことで工事の予定日を伝えられる。終わらないタスクがついにおわる。見通しがだっただけでも心がすっきりする。しばらく執筆作業をするが、心が鬱々としてくる。あやが突然にあたししかあなたに興味がないってどう思う、と言う。それが最高だといつも言い返すのに今日は言い返せない。ここからさらに下がっていくと立ち直るのに苦労する。外出が大事だ。外出だ。あやを肘で押しのける。着替えて外にでる。
あやが背にぴったりと張り付くようについてくる。そんなにあたしのどこが嫌なのか、と問われる。そんな問いをしたら嫌われるのが分かりそうなものだが、オレはあやを無視する。あやを追い払いたい。腹もすいた。バックウォッシュにいこう。あやは人の前には姿を見せないし、マスターの宮内さんと雑談することで気分転換もできそう。店の前につくとあやはいつのまにかどこかへ消えている。中には男性客が一人。怖い。客はオレを見る。オレは目を合わせないようにする。カウンターの席を右端から一つ左の席を選ぶ。男性客とは最大距離。宮内さんはいつも会心の笑顔で迎えてくれる。それはそれでまぶしすぎて目は合わせられない。うつむき加減のまま、手探りでカウンターに座る。ハンバーグプレートランチを注文する。宮内さんは水を出してくれると男性客の紹介をしてくれる。宮内さんのご主人で今日はランチをバックウォッシュで摂っていたとのこと。余計に気まずい。極力目視を避けていたものだから紹介されると恥ずかしい。まだ若くしゅっとした男性で農業のコーディネーターをしているとのこと。さて、ここからが本番である。初見の方とどのように言葉のラリーを続けられるか。極めて集中した精神力が求められる。天気、時事、相手の専門分野についての聞きかじったことをアホのフリしてきちんと聞いて説明してもらう、休日の過ごし方など。オレがもっとも苦手としている作業。この作業が完了したときに心にダメージを負っていなければゲームに勝利したというちょっとした達成感は残る。トーク時間は十五分。二度ほど四秒の間ができた。三秒の間ができるとオレはすでに胸のあたりがむずむずしてくる。目を強くつぶったり、頭を抱えたり、腕をぐるぐるまわして間を持たせないといけなくなる。これが相手に異様にうつってしまうので、別の話題をこちらからふる覚悟をして一秒後には深掘りしたトークかまったく別のトークをはじめなければならない。我文町に移住するきっかけなどを聞くことで緊急事態を回避する。ご主人は要点を押さえてお話をしてすごく穏やかに語る。話も専門的で面白い。世界が明るければオレだってこんなに苦労していないのだろうと思う。
プレートランチがでてくると、ご主人は本を読み始めた。気を遣ってくれたようだ。その気の使い方がまたすこし心苦しい。すくなくともオレの中では妙な空気が三十秒ほど続く。ご主人はしばらくしてお仕事にもどっていかれた。何をしても勝てなかった戦いだったのだ。ランチはとてもおいしく癒やされる。外であやが待機しているかもしれない。もうちょっとゆっくりしたかったので食後はグァテマラのコーヒーをいれてもらい、宮内さんとカウンターごしに何気ないおしゃべりをする。一時間足らず滞在しお店をあとにする。外にあやはいない。新緑の川沿いを散歩しながら家に帰る。radikoで情報番組を聞く。

テレワークで公私の区別がつかなくなった忙しさがわからず仕事の割り当てがうまくできない、仕事ができる人だけにタスクが集まるなどなどテレワークの問題点を挙げている。良いところと悪いところがあるという切り口で終わる。オフィスでみんなで仕事をするのが当たり前、という固定観念は根強い。一方で身体だけオフィスにもちよって全員がディスプレイしか見ていないことだってある。私たちのやっている仕事とは何か、という WHY の共通認識がなければ、オフィスワークだろうがテレワークだろうが、価値のあるアウトプットはできない。その文脈で「オフィスワークのほうがやりやすい」というのは、ただただ機械的な時間管理の中でタスクを押し込み、忙しく仕事をしているように見えているだけに過ぎない。忙しくしてもアウトプットは変わらない。問題を複雑にしたり、時間効率、作業効率をさげて忙しくしているだけだからだ。いままでのオフィスワークとはなんだったのだろうか、という気づきから自分たちの業務プロセスの改善をすすめるチャンス。それに気づけない人が多いとすれば悲しい。この国がどこまで衰退していくのか、オレも何にも期待せずに一緒に衰退していく。墜ちていく感じ、けだるくて少しだけ心地よい。

二十一時からはエクリプス開発チームの第一回お楽しみ会、Left 4 Dead 2 をみんなでやってみようの会を開催。ラーメン大好き河合さん、行方さん、オレでマルチプレイ。単純なお遊びでもあるが、チームビルディングとしての要素も含めてみんなでやってみようという話になっていた。行方さんがFPS初心者向け、低プライス、協力プレイのなかで提案してくれた。最初はマルチでやるための準備に戸惑う。河合さんが Steam 自体でのマルチがそもそもはじめてのようで思ったようにいかない。河合さんがすまんのおと謝っている。オレにはこれに既視感を覚える。仕事でもそうだが、ペア作業、モブ作業において「自分のスキル不足でみんなの時間をとってすみません」「自分の理解不足ですみません」みたいな状況にであることがある。お互いの経験値が違うことが当たり前なのにおかしな話。オレは「そんなこともできないの」という圧力を個人的にも何度も受けてきたからこの感じが嫌い。得意不得意がありお互いにカバーし合って目標を達成しようというときには、相互の認識をあわせて互いに理解を深め合うことで問題解決に向けた質の良いやりとりが必要のはずである。「ショートカットでリファクタリングを選択してメソッド抽出を選択したあとにメソッド名をきめてメソッドシグネチャの設定をして、そのときに第二引数と第三引数の順番をかえて最後の引数にはデフォルト引数 null にしてしまって戻り値も void にしましょう、戻り値については参照で渡すようにすればいいとおもうので」と中途採用一週間目で苦手なIDEに四苦八苦しているエンジニアに言う人の気がしれない。無事にマルチでゲームをはじめる。経験者の行方さんがざっくりとレクチャーをしてくれる。オレと河合さんの質問責めにあうが、まあ聞け、というスタンス。河合さんも未成年児であるし、オレも十四歳、制御がきかない。どうしたらいいのと制止を振り切って聞くが行方さんは同時に質問されてもどうしようもないという感じで淡々と説明を続けてくれる。オレは少しはFPSをやっているので操作は問題さそう、でも武器やアイテムのことはよくわからない。経験者の指示にしたがってスマートに攻略するのをよしとするのか、なにも情報なしでその状態を楽しむのか、期待はすり合っていない。自然と生まれるリーダーシップや暗黙の期待がなんとなく見えてくる。暗黙の期待こそ危険だからそこをこのチームは乗り越えていく必要がある。プレイしていくと行方さんは経験者であることを活かして先陣をきり偵察、突破、探索を行う。河合さんは目に入るゾンビというゾンビに向かっていっていつの間にか迷子になっているがゾンビのキル数は多い。オレは死にたくない、絶対に死にたくないのでクソエイムで後方からゾンビを撃つ。ラッシュに対して行方さんは優位な位置を取ろう移動しながら戦い、河合さんは銃を構えてその場にとどまり押し返す勢いで殺していく。オレはとにもかくにも退きながら銃撃をするが押し込まれてしまい、最後には進退きわまりタコ殴りに合う。オレはゲーム的達成目標を放棄して、ただいまここで死なずについて行くことで動いている。戦場で倒れて足手まといにはなりたくないという習性。行方さんはゲームの特性を理解してクリアするためにテクニックをつかって進めて行くというのが見える。河合さんは好奇心を刺激されて目をらんらんとさせてゾンビワールドを堪能している。一つのステージをクリアしたかったが最後のエリアが突破できず、今日はお開き。何度か繰り返すことで問題に対する理解、対策を深めていくことはできたが突破はできず。ゲームの面白さはこの成長速度であり、マルチにおいてはその相互作用における刻一刻と変わる状況にある。
しかし、オレのエイムは味方にしか当たらない。戦力にならないというのもまったく足手まといである。悶々としたまま、薬を飲んで寝る。