去人たちを作れなくなったうつ病プログラマーの地方生活日記

創作に絶望すると、世界が反転した日記

8月2日(日)

今日はタンブルウィードに行くんだ。覚悟をきめて予約した。七時に目が覚める。十時間ほど睡眠をとった。それでも布団から起き上がれない。はあ、今日も生きる動機がない世界が出てしまったようだ。天気は良く鳥の声が響き渡っている。空気の湿度もいくらか低くなった気がする。LINE でキャンセルの連絡さえいれればこのまま布団に寝転がっていればいい。目を閉じる。まどろむ。寝ていたときの夢を思い出す。オレは夢のなかで恋活をしている。マッチングアプリか街コンかわからないけど、なんか結果的には一人を選べる状態のオレ。十四歳末期になって人生二度目のモテ期がきたと。しかし、どうも脳内が怒張した陰茎に支配されているらしく、付き合うということではなくて、きゃっきゃうふふしたいだけらしい。うまくことを運ぶことができれば夢精できるチャンスである、オレはしっかり考えて好みの子にアプローチする。しかし相手は蔑んだ目を向けて去って行ってしまう。オレは戸惑いながら追いかける。見失ってメッセージを沢山おくっていまどこにいるのかを聞く。周りは田園で、なんの音もしない。誰もいない。オレ以外のなにもかも作り物のセットのようになっている。
二度寝しそうになって目を開ける。十五分しか経っていない。十四歳末期のモテ期は幻想だったし勃起も夢想にしかすぎなかった。情けない……ちがう、そういうことじゃない、よくわからない脱力感。このままだと今日も終わる。でも終わらせたらオレは死んでしまう。布団から這い出す。風呂に入る。半分ねぼけながら身体を洗い、ぬるめの風呂に長く浸かる。世界の遠近感がもどってくる。のっぺりとした世界に奥行きができる。風呂から上がって出かける準備をする。冷凍おにぎりを温めて食べる。

タンブルウィードにいくと日曜日なので乗馬のお客さんが沢山きている。女将さんとゴルゴ先生がにあいさつをする。キモサベのうらほりとブラッシングして準備をする。キモサベの前世は魔法少女だと思っている。光を吸い込む深い瞳でじっとみて、話を聞いている。ほとんどのことには動じないが、イライラが最大に達すると呪術をかけてくる。まずはキモサベと天気の話をする。梅雨明けたけどこれから暑くなるし人間の相手するのも大変よね。せやね。あらー、梅雨がおわってたてがみもまとまるようになった、かわいいじゃん。せやろか、それならよかったわ。みたいな。セン馬のキモサベちゃんかわいいよ。レッスンはゴルゴ先生がとマンツーマンになる。軽速歩の所作がメイン。キモサベは朝一のお寝坊さんキャラなので、最初はのんびりのんびり。ゴルゴ先生が喝をいれるがそれでものんびり。 どんどん蹴って合図してあげてください、というゴルゴ先生の指示がくるが、オレはキモサベの呪詛が怖くてそろりそろりと蹴る。するとゴルゴ先生は、馬に分かるようにしっかり合図してあげてという。キモサベは人の心を読んでいる気がします。常歩の調子がでてくると軽速歩。鐙、つま先、かかと、太もも、ふくらはぎ、腰、手。すべてに意識をして統合する。さらには馬の足並みに合わせて立ちと座るタイミングを合わせる。これを大雑把にいうと馬と呼吸を合わせて、となる。自意識の世界を生きるバラバラの身体器官をもったオレと、現実を生きるキモサベのシンクロという人間離れした業である。でもそんなことができたらセックスぐらい気持ちいいだろうなと思う。女装した魔法少女とそんな気持ちいいことしたらこっちの世界に帰ってこれない可能性が非常に高い。はぁはぁ。馬上で立つ、ということでも手こずっていたが、これに余裕が出てくる。次に相手、キモサベのことを考えられるようになる。キモサベが楽しく走れるようにすることを考えると呼吸を感じられるようになる。呼吸に合わせようとすると不自然になる。身体に力がはいる。合わせに行ってしまうと、身体に力が入ってしまうし、直線とコーナーの足並みのズレに対応できない。考えるのではなく感じる。レッスンの時間は直ぐに終わる。ゴルゴ先生が良い感じですよ、という評価。一人相撲から相手のことがほんのちょっとだけわかった。うれしい。レッスンが終わるとキモサベのお手入れ。オレと入れ替えでお姉様方が三頭で乗馬のレッスン。お姉様方がムチをもって騎乗すると様になる。家畜人ヤプーをみているみたい。あのムチでオレも叩いてほしいなあ。ぼうっと馬場をみているとゴルゴ先生から指示がでる。キモサベの鞍はずしてあげて。オレは慌てて鞍をはずす。キモサベは不機嫌そうである。やばいやばい。呪詛かけられちゃう。鞍をつけていると馬があつくて汗をかくし疲れてしまう。いそいで外してあげる。いやー、ごめんごめん。全身を水洗いする。キモサベはデリケートゾーンも洗ってもらうのが好き。お尻の穴を洗うときに尻尾をあげるのかわいい。女将さんいわく、他の子は嫌がることもあるので様子を見ながらやってね、とのこと。全身を洗ったあとタオルで拭いてあげる。そのあとに脚を洗う。うらほり。球節の奥まで手でガシガシ洗う。顔も拭いてあげる。最後にブラッシングして毛並みを整える。完璧。自転車を洗車したあとの気持ちよさに似ている。すっきり。そのあとは厩舎にキモサベをしまっちゃう。キモサベに次もまた頼むよというと鼻面を寄せてくるのかわいい。厩舎からでてくると先生が馬術を楽しんでいる。ゴルゴ先生が笑っているっだと。真面目でとっつきにくい先生だけどすごく馬上ではすごく楽しそう。馬もいままでに見たことのない動きをしている。まるでダンスを踊っているみたいである。あんなん楽しいにきまってるじゃん。馬も操られていることを心地よく思っているみたいにリラックスした表情、筋肉が躍動している。いいなあ。次回の予約をする。体調わるいのでっていうと女将さんにいうと心配そうにしてくれる。最後は断薬して完治ってことですよね、といわれるのでそうですね、と返す。女将さんもお薬を飲んでいるらしい。そうなんだと思う。とても明るい人なので意外だが、オレも会社では明るいとかユーモアあるとかいわれるものな、そりゃ、見た目じゃわからない。女将さんが癲狂院じゃダメなんじゃない、とのこと。内科的な評判は地元では悪いのかもしれない……。それでなくてもいまちょっと不安感でてるんだよな。すくなくとも精神科としては、個人的にはフィットしているのでよしとしよう。

家にかえるとカップラーメンを食べる。ここで一息ついて引きこもると運動が足りない。サイクリングにでかけたい。サイクリングは伊花多ヶ浜を目的に定めてあとは適当にぶらつこう。日射しはつよいが湿度が低いのと風が吹いているのでちょうどいい。日光浴には最高である。うつ退散。伊花多ヶ浜はかなりの人出になっている。個人的には経済を回してみるというトライはかまわない。えぐい話、人のライフサイクルよりも人が集団となって運営する企業のライフサイクルのほうが長く、かつ起業から成熟した企業までの成長に多くの時間がかかるからだ。それらは正しさはなく、バランスでしかない。そのために正しい観測、計測、統計と計画、意思決定が必要。誰かの恣意的な判断でこれ以上は死んでも良いとかダメとかではダメだ。そのうえで、これ以上の死亡率を許容するというのが責任だ。

家に帰って風呂にはいる。早めに夕食をとり、執筆作業をする。明日は仕事。

薬を飲んで寝る。