日記を放置していた間にいろいろな事はあったが、人生を総括したときには些細なことにちがない。今日は病院巡りのために一日、会社に休みをもらった。半休でもよかったのかもしれないが、病院にいくだけで俺のメンタルがボロボロになるのは想像に難くない。
名破市の病院まで自転車で40分。朝の空気は冷たく、山間の空気はきんっと張り詰めている。もうちょっとペダルをまわして体温をあげていこうと思うが、このコントロールがうまくいかない。すぐにじゃばじゃば汗がでてきて、身体が温まるまえに汗冷えが始まる。自律神経がぶっ壊れている。低速巡航で進む。指先がかじかむ。ツール・ド・フランスでは標高2000メートルまで登って気温は1度ぐらいだった。過酷すぎる。
病院につくと受付をすませる。体調がわるい。自分本位になっている。いまになっておもうと、一番オレがダメ人間なときだった。オレはぶっきらぼうに、名前を告げて、予約してると告げる。受付の女の子は名前からカルテを検索してくれたようだ。オレは、再検査の予約をしています、の言葉がいえなかったこを後悔する。他者の居る世界に足を踏み入れていない。分別がない。
病院の待合はコロナ対策でソーシャルディスタンシングを行っている。ご年配の方が多く、足腰が不自由な方が多い。診察の順番になると白髪の豪胆な内科医。いなかのおっちゃんってこうだよね、というグイグイでフラットな話しぶり。14歳ならまあ精密検査しなくてもいいきがするけど、まあ、一度やっておくといいよ。うむ、オレもそのつもりだ。いろいろめんどくさいんだけど、検査について後から看護師から説明きいて。おれは頷く。内科医もコンプライアンス的に説明しないといけいない事項を淡々と伝えているだけ。こまごまと書面に書かれたことにオレは興味がない。まれにおこる問題、1%未満、当院ではおこったことがありません、安心してください、という謎の説明。次はオレにおこらない理由などなにもないのだから安心などできない。確率とその事象が発生してしまうということの間には生の真実が垣間見える。
結局、俺は大腸内視鏡の検査を受けることになった。大量の下血まではしていないので進行したガンではないだろう。アナルに振動するピンクの医療器具をを挿入して強にして楽しんでいたのがきっと悪かったのだとおもう。
家に帰る。冷えた身体を温めるために温泉に浸かる。仮にガンだとして、俺はうまく死ぬことができるのだろうか。「死にたい」「消えたい」「記憶喪失になりたい」「人に迷惑をかけたくない」
嫌になる。気分は重い。早々にクスリを飲んでねる。