kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

映画の感想会―縞模様のパジャマの少年

映画ばっかり観てやる気あるの? っていわれるようですが、正直やる気にうついてはひどく悩んでいるところではあるのです。
去人たち三部作のあとの作品どうしようかなっていうワクワク感がほんとうにとまらないんです。びくびく。
去人たちはすぐにオワコンになってほしいのです。そういった類いの実験作品だったわけで、それは実験の成功と失敗によらずに、そうあってほしい類いの作品なのです。
そうでないのなら、それは実験とは別に作品が受容される場があったのだな、とでも思うことにしてはいるのですが。

8才の映画

主人公の少年は8才の小学生で或る。大戦下のドイツ将校の子どもで、ベルリンをでて郊外に引っ越すところから話は始まる。
先日観た隣の家の少女は14才前後の少年、少女が多かったが、今回は8才である。もはや、既知で体験済みなので安心してみることのできる映画であった。

礼儀正しいジュブナイル映画

この映画は観てもらえればわかるが、絶望感とは無縁の映画である。
ただ、もしあなたが8才のようであり、そしてそれに感情移入してその映画をみるのなら、またべつの感想を持つだろうとはおもう。それがどのようなものかは想像できるが、あたしの記憶のかなの8才は分別のない8才でしかない。8才には分別という言葉すら存在していないのだ。あたしの想像はたいした意味をもたないであろう。

構造?

映画とかみたときに、既存のスキームで理解できるものにであったらぴょんぴょんして悦ぶ輩っているよね。本当に、頭を撫でてあげたくなる。あたしだってそうやって撫でられて悦んで居るんだからねっ!
象徴的には仕切りがきちんとした物語になっている。大人の世界/子どもの世界、そしてその力場に戦争という装置があり、戦争という装置を動かす燃料が背後に見え隠れする。
戦争という装置は、大人の世界と、子どもの世界に均等に歪みを持ち込んでくるが、それに対する反応が両者の世界で印象的に異なる。ただ、この映画は8才の視点で進むのだ。

8才の世界

8才にとってはまだ対象はぼんやりしている場合がある。うらやましい限りだ。14歳にもなるとあまりにも見えすぎて全身が強ばっているというのに。恐怖、恫喝にたいして何も出来ない8才が、自分を守るのは本当に腑に落ちる。
あたしは8才のとき三省堂の国語辞典で「因果関係」という言葉を引いてみたことすらなかった。その数年後、それを引いても意味がわからなかった。なにか説得力のありそうな言葉だとおもって、いつか使えるようになりたいなとおもった。
だけど、皮肉なことに、今になってそんな言葉、使わなくていいなら使いたく無いんだよね。対象がはっきりしすぎているんだ、あまりにも。

まとめ・・・てみる?

意欲や期待してみるような映画ではないが、冷静にみるには自分自身と対話する余地がおおい映画だと思う。その意味でいえば、個人的には良い映画だった。ただ、その意味でみてしまうと、映画である意味や受動的な時間について疑問符が残る。読書でもよかったかなとおもってしまうわけだ。
刺激的な映像とか、音楽をもとめたいならもっとほかの映画という気もする。

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