奇跡の海とアンジェラの灰の二本立て。
別にエミリー・ワトソンを狙ったわけでではなくて偶然。しかも鑑賞中は同一性を認識出ていなかったわけだから、驚いた。
奇跡の海
ステレオタイプを嫌っている人ってすぐ類型つかいたがるよね。あたしも例に漏れずにやっちゃうのかなあ。『メンヘラの嫁とNTRの旦那』みたいなラノベとかマンガ違和感ないわあ、みたいな。
ただ、この映画、「メンヘラの嫁」に大いに感情移入できたものだけが大勝利とおもう。
見ている途中にニーチェが頭のなかを右往左往してて、思想家とか哲学者じゃなくてよかったとおもう良作。学問としてやらずに、思想と哲学の消費者という立場が本当に無責任で刹那的で批判しようがない生なんだって感じる。
個人的にはここ数年でみたのなかでも映画でもかなりぐっときた。おすすめ。
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アンジェラの灰
ユリシーズを読んでいたが、実はよく分かってない――なんて人にお勧めの映画だろう。
あたしもユリシーズの温度がよく分かった(気がするだけ)とおもう。
アル中病棟を手を叩きながら腹を抱えて読んだあたしだが、飲兵衛旦那を愛でる作品である(強引)。家族のことを愛していながら、日払いの給料をすっかり飲んじゃうダメ亭主とその子どもたちの悲痛は形式的ながらも、「アイルランドの風景」がそれを単純なコメディ的にやりすごすこと許さないのが、静かな主張ののように思えた。
あまり意識しなければ娯楽映画のように見ることも出来るが、あまり表面的に語られない「作り手のもどかしさ」を感じ取れ、これもぐっとくる映画だった。
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