Hello! And good-bye KYOJINTACHI (6)
■@lice以降へ
2001年、@liceとの話し合いが決裂した。
一人の同人ゲームの製作者として、とてもバカバカしい話をしてきたとの実感とともに、こんなバカバカしい話を真剣に出来たことに満足感があった。
少なくともこの決裂は、このまま心地よい空疎な議論を続けていくより有意義であった。そこがあまりにも居心地がよいという理由で言葉を浪費していくのは、これまでの「空疎ではなかっただろう議論」すら完全な空疎に変えてしまう。
そのあと、わたしはプログラムに専念できた。
それがテクストかナラティブかは分からないが、エクリチュールの後の排泄物は残っていた。
ノベルゲーはとても簡単だ。シナリオがあったら、音楽をつけて背景画像とキャラクター画像をつければよい。
本当に単純なことで、なんの迷いもなかった。
構築……
概念的ではなく具体的な……
それはとても簡単なことだったのだけれど……
あたしゃ、少し厄介なところまで入り込んでしまったなあ。
わたしは物語を作るべきだと言い続けて籠城したせいで、その城が嫌いになってしまっていた。
風通しの悪いその城はコードとか記号とかで完全要塞化されてわたしの感覚は遮断されてしまっていた。
(つづく)