kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

5月23日(土)

部屋の整理度向上を目標とする一日にする。そして徹底的に前の住人の痕跡を消して自分の部屋にする。そのための道具は amazon から届けられた。
そのなかでも最強、KUREのシリコンスプレー。滑りをよくする。なにせ、古いマンションであるからして、押し込み、引き戸、障子の戸、サッシ、各種収納の戸という戸がぎしぎしがたがたである。これをシューッとしてやるとシャーッシャーッとなるのである。シリコンスプレーは以前、前職で一緒に仕事をしていた川上さんが教えてくれた隠れた便利グッズであり、椅子がギシギシいっていたのを魔法のスプレーでといって直していた。今回もその魔法を使ったというわけである。開閉のたびにギシギシいっていた戸はなおり、障子戸にいたってはさっとすると、地球を一周してもどってきたみたいに心地よい開閉を実現した。
ガラスサッシは本気でぴかぴかにする。レールの上には訳の分からない埃やその元になったのかも知れない羽虫が堆積しており、箒であらかた片付けたあとに徹底的に拭き掃除をする。ガラスは拭き筋がなくなるまでに懸命に、腕がもげてしまうかもしれないぐらいに吹き続ける。ガラス越しの視界がひらける。いままがどれほどの汚れだったかが一目瞭然である。

まだ、オレの部屋じゃない箇所。オレは嗅覚を尖らせる。触れたくない場所、踏み入れたくない場所。最後はキッチンだ。シンクと排水溝周り。まかせろ、いつもの道具がある。ナイロン手袋を装着し、キッチンハイターを大量散布する。占領してやる、この部屋をオレのモノにする。オレは今日こそ枕を高くしてやるのだ。タワシを強く握りしめるとオレは叫ぶ。市ね、市ね、死んでしまえ!!!

オレはやりきった。占領した。ここはグリーンゾーンである。オレは拳を突き上げる。そして上からどんどんどんという音が聞こえる。よし、今があいさつのチャンスだ。オレは階段を駆け上がり 711 のチャイムを押す。オレはのりにのっている。挨拶はできる、できる。だが、やはり出てこない。納得する。アポなし訪問はでない。面倒くさいことに関わらないためとすれば良い戦略だ。ならばよし。

オレは全てを理解しコントロールできている感じがしてきた。つまり危険信号だ。脳みその使いすぎになっている。自転車で散歩に出かける。我文町周辺は小さな山に囲まれていて平坦は少ない。山の周りは海で景色は良い。自転車の散歩としても軽いエクササイズとしてもとてもいい。ポタリングにはうってつけての気温、標高三百メートル足らずの羊鳥ヶ岳を抜けて嵯端岬に出る。海が一望できる。帰路は下りメインになるわけでもなく引き続きのアップダウン。足が疲労で終わる。