01月20日(水)

身体が重い。動かない。限界の時間。這いずり出す。這いずりだして執務室に向かう。PCの電源を付ける。勤務開始のボタンを押す。

ホッシーは元気で笑っている。今日もだるいけどやっていくしかないね、ねっ、という感じである。でも顔は爽やかだ。なにか、前日のことに負い目でも感じているのではないかというぐらいだ。そこはいい。ホッシーがにこやかで、オレそんなにこやかな彼と一緒に仕事ができるならそれに越したことはない。

デイリースタンドアップが終わったあと、個別のチームにわかれてホッシーとオレのビデオ通話になる。オレは体調不良をかくしていう。ガントチャートがどうなっているか教えて、と。するとホッシーは笑顔で応える。笑みさえたたえている。スプレッドシートガントチャートを更新していく。
「このチームでやるタスクは残り一つで、このタスクも今日で終わるでしょう」
ホッシーがいう。これが終わることで、オレの出張理由も終わる。休職はいつでもできるようになる。むちゃをいえば、明日からだってできる。

オレはゲロがでそうになる。前日に飲み過ぎた。二日酔い? 違う、前日に酒を飲んでいないわけではないがいつもにくらべれば少量だ。これは慢性的な胃炎、食道炎に違いない。
「ごめん、ホッシー
 そういうとホッシーは眉間をしかめる。
「オレには午前中に働ける余裕がない。あるいは居たとしてもペアプログラミングのパートーナー賭してパフォーマンスを発揮することはできそうにないんだ。ごめん、午前は有休をとらせてくれないか」
 ホッシーは諦めたような悟ったような表情をする。戸惑っていたのかもしれない。でも即座に返答する。「わかりました。また、午後に。お大事になさってください」
 ビデオ通話を切る。マネージャーに午前休の連絡をする。ホッシーがオレに「お大事に」と言ってくれたのが嬉しい。彼からはあまり聞かれない言葉だ。

 オレは這いずりながら布団に戻る。主虫状のいきものになって布団の上にもどる。寒気と吐き気が襲ってくる。布団を被る。ふっと気を失って起きる。全身汗だくで布団もシーツもビショビショである。オレはただたんんに静かに寝ることもできない。でもそういう生き物だ。
 オレは怒り狂って全裸になり、タオルで全身の汗を拭き取ると新しい肌着に替える。そしてびしょ濡れのシーツと布団を追いやって、適当な毛布だけにくるまってねる。

目が覚めると午後の勤務時間だった。這いずってPCにはいよると勤務時間開始のボタンを押す。
ホッシーとビデオ会議をして作業を進める。午前休作戦は良かったようでオレの体調はよくなっているし、法師の言っていることもよく理解できる。さすがはオレである。休憩のタイミングを心得ている。その作業は16時までにはおわる。素晴らしい。

これが終わったということはオレの一旦の出向理由は完了したということになる。いつでも休職にはいってよい。でも、おれには心残りがある。ホッシーはオレのことをなんだとおもっていたのだろうか? 都合の用意装置、であればよれでよし。でもオレを「人」の分類としてカテゴライズした上で、仕事上の一時的なパートーナーとでも思っているなら、オレには野心がでてくる。まあ、無理だろうけどね。
ホッシーと一緒に仕事できて楽しかったよ」
「わたしもですよ」
 とホッシーはいう。なにも進展しない会話だ。細かな探り合い、悲しい探り合い。
「明日からわたしがいなくなってもいい?」
「うーん、やりたい作業はあるんですが……」
「ふむふむ。オレと一緒にやってもいいけど、チームのナレッジレベルとしてそれでいいのかっていうことかな?」
「おっしゃるとおりです。だけどダメ元でやってみませんか?」
 オレはうなずいていう。
「それをアジャルではなんというかなあ?」
「検証タスク? フィジビリティスタディ?」
「スプリントゼロ。オレはホッシーとスプリントゼロをシテ休職する。最高の休職プロセスだ」

ホッシーは苦笑いを浮かべた。たいした意味はない。なにも発話できなかったのだ、その場において。

オレは事務手続き上の休職を進める。人事に提出する資料。マネージャーとの認識合わせ。
その結果分かることがある。オレはこの会社に所属していない。


仕事、終わりにエクリプスのMTGをする。
河合さんもゆくえさんもオレには頓着しない。それでいい。もう廃人だから。
一方で廃人のわたしをどう扱うかも考えてくれない。廃人は廃人なりにやれといわれる。正しいが正しくない。だれも誰もと愚痴れない。@lice おれはいまこんな泥沼にはまり込んでしまったよ。返事はない、ただの屍のようだ。

ブログを書く。これを描くことが攻撃だから。誰もオレの攻撃に気づいてくれない。だからここだけでも攻撃しなければ。
何度も言う。死ぬのはお前等だ。オレは死なない。死んでしまえ、おまえらよ。オレは死なない。