kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

01月12日(火)

三連休明け。スマホのアラームは7時前になる。前日は遅くまで深酒をしていた。スマホをまさぐると無意識に止める。完全停止か、スヌーズか区別もない。ただ、とまればよい。遅刻しようが餓死しようが児ポ関連で逮捕されようがどうでもいい。寝かせてくれ。身体は鉛よりも重い。

日記が大分あいてしまったので、すこし状況を整理しよう。オレはシデムシ隊のなかでシデムシよろしくごそごそと動き回っていた、活動の場を失っていく。理由はたいしてない。自分から新しい領域に行こうとしなかったこと、フレックスの時間差ラグでチームメンバーと共通の時間をつくれなかったこと。それに徹底的に打ちのめされて、精神的に死んでいたこと。これぐらいが理由ではないか、自分の認識する範囲では。

ある朝の部署ミーティングで、栞と一緒になる。RMI チームのプロジェクトが遅延していて助っ人が欲しいんで、kow さんに依頼が行くかも、とのことだった。おお、こんなオレでも役に立てるような場があるのかと意気揚々とそのときをまった。だがなかなか、そのときはこない。実はこのとき部のマネージャである笹野マネージャーがその要求を蹴っていたのだ。RMI チームとオレの相性は最悪だから、そこと混ぜるとオレがまたやっかいな病気になるから無理だとのことだ。オレが笹野マネージャーに二枚舌を使っていたことが裏目にでてしまった。オレがRMIチームを離脱するときに、チームメンバーいけすかないんだよね、とめんどくさくて漏らしてしまったことがある。うつには原因があるはずだ、とみな当然のように思うのだ。だから執拗に聞かれる。まるで精神分析だ。何か嫌なことがあるだろう、本当はいいにくいけどなにか嫌なことがあるだろう、ここだけのはなしだからいってみなさい、誰にもはなさないから。何か、嫌な、事が、あったんでしょう。死ね。生まれてきたこと自体が嫌じゃ、ボケが。うつは、一般的には内因性であって、心因性のウツという分類はない。心理的に負荷がかかるような出来事すらウツの原因の一つでしかない。彼らはウツを誤解している。だけど、それを正す気もない。何か具体的な出来事が起因になってうつを発症した。そうでなければならないのだ。なぜならば、彼らマネージャーはリスクを管理するためにその火種をみつけるのに血眼になっている。原因がないに突然、うつになってしまったら、マネージャーはマネージメントできないのである。

そして今日の、人事部長と所属部上長のミーティングも同様であった。会社に対する不満を言いなさい、同僚に対する不満を言いなさい、待遇に関する不満をいいなさい。実際の言葉はもっとマイルドだが結局そこから論理的に精神的リスクをマネジメントしようというのだ。オレは笑いながらいう。自分がやっている仕事は楽しくないしわくわくもしない、でも不満はないんです、にこにこ。するとしたり顔で突っ込んでくる。なぜ楽しくないのか、ワクワクしないのか、不満がないという言質こそが韜晦ではないか。いや、サラリーマンが全員熱血漢でプロフェッショナルでプロジェクトXにでてくる人ばっかだったらやばいでしょうが。
オレは切り返して聞く。人事部長、オレはどうあったら理想ですか?
人事部長はドライな話、と前置きしていう。オレ自体がドライだしクビになっても仕方ないと思っているけれども、そのように前置きしてくれるのはなんだろう人として敬意を払ってくれているのだとおもって静かに感謝する。
「kow が継続的に仕事を続けられること、給与に見合うパフォーマンスを出してくれること、kow ご本人が当社で働くことに魅力を感じ、当社で成長できること」
給与に見合う費用対効果があるかどうか、そのあとに従業員として満足してすごしてほしいということだ。経営としてしごく真っ当な判断だ。人事部長は信頼に値する。でも精神医学についてはオレのほうが知識がある。そのなかでどうすべきなのか。わからないだけど、むしろ乗っかってみることにした。
「オレは当社において自分の能力に見合う仕事ををアサインされたことはないと思います。でもそれは不満ではなく、それ以外にすべ挑戦をさせてもらったことである。決して無為ではなかった。でも、いまこそ、自分の能力に見合う仕事をやってみたい」
もう会社を辞めるべきなんだと薄々はしっている。だってこの会社にオレの居場所はなく、ここにいても成長はない。最後に挑戦して失敗して、あとは落ちこぼれて転職先も見つからずに海に身投げすればいい。身投げしたオレの身体は魚たちに喰われてこの世界の一部に戻る。

あっという間にミーティングは終わる。オレは今のプロジェクトが一段落したあとに休職する約束だけをとりつける。それだけでいい。人事部長も部のマネージャも厄介ごとに辟易している表情だ。当然だ。オレだってそうなる。

そうった人事面談がおわると、RMI チームに依頼されたプロジェクトの助っ人の作業にもどる。この作業を終わらせないとオレは休職できないと自分に課している。RMI チームに中途の新人として入った二十代後半のジュニアエンジニアのホッシーと一緒にペアを組んで作業をする。感情を表に出さない暗殺者みたいな男子で、一見して中性的な男性だ。最初にあったときはボーイッシュな女の子かなと勘違いしたほどだ。作業はミドルエンジニアのオレがリードしながらペアプロをする。ホッシーホッシーで真剣に取り組んでくれる。なぜ? が多い。若手がこの何故を多用できるなら、見込みがある。そういうもんやろな、と飲み込んではいけない、何故が大事なのだ。何故? と聞かれる度にオレはしたり顔で説明し、もちろん最後に、これがベストプラクティスというわけではなくオレの個人的な見解なのでもっといいやりかたはあるかもしれない、などとそれっぽい言葉のような逃げ口上のような言葉を付け加える。でもホッシーは咀嚼して納得してやってくれるのでうれしい。
そうやって仕事を続けて一ヶ月。オレに問題が起こった。ホッシーと仕事をするとドキドキするのだ。何でだろうと思ったけど、これは間違いない。ホッシーを男性ではなくて、性的な対象として見てしまっている。おー、これは大変罪深いことになりましたぞ。ドキドキ。勤務開始前に、一旦ヌいて、お昼休みに一旦ヌいてへんなことをいわないようにしないとドキドキ。なんでこんなドSっぽい後輩にドキドキさせられなければあかんねん。く、む、胸がくるしい。こ、これがこ、恋というものなんだろうか。そういえば、ボーイッシュな女の子ってかわいいよね。あれ、オレはロリコンではなくてはショタだったのだろうか。そんなわけねえ、んなことあるか、相手は男やぞ、そんなはずあるわけないやろ。オレはロリコンだあああああ。
ドキドキするなら循環器科受診したまえ、オレは心臓の病気だ。放置しねば心筋梗塞で死ぬ。よろしい、放置して死んだろやないかい!

脳髄がなんかのウイルスにやられているんだろう。正常な判断ができない。退勤する。

温泉にはいって、お酒を飲む。明日はホッシーで射精しないようにする。強いクスリを沢山飲む。