kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

7月9日(木)

十時間睡眠。スヌーズを一撃で撃破する。ちょうどいい。身体的不快感はない。ライフログを確認すると七時間が浅い眠り。深い眠りは二十分。レム睡眠が二時間ほど。記憶の整理はしてるんだろうけど、いつものことではあるけど脳は休めてないのでは。睡眠トラッカーは二種類つかったけど変わらないので深い眠りにつけていないという信頼性は高まっている。
すっと朝のルーチンワークをやってしまう。外は曇り。雨ばかりで自転車にのれていない。なんとか持ちそう。ポタリングしてこよう。
着替え、サイコン、スマホ、グローブ、ヘルメット、戸締まり。準備がうまくできない。頭の中で組み立てられない。ポタリングなので半袖短パンでいこうとしたが、路面がウェットなので濡れるのがいやなのでタイツをはいたり、サイコンがみつからなかったり、グローブをわすれて家をでたり。通路に沿って歩いて行けば自動的に必要なモノが装備できる仕組みにしたい。自転車のるのに思考は使いたくない。無になって流れる景色と風を感じたいんだ。そのまえに思考はできるだけ低くしておきたい。棚空間をつかった仕組みかを今後やっていこう。
湿度は高いが、空気はすこしひんやりしている。全方位の視界が流れていくのが気持ちいい。変化し続ける心地よさ。伊花多ヶ浜まででて荒れた海を横目に進む。浜辺の漂流物が集められて綺麗になっている。そうか、海開きするのか。周りをみると夏季限定と思われる仮設店舗の設置も進んでいる。我文町の住人は新型コロナウイルスとの共存について無自覚な気がする。すくなくとも共存戦略について周知はされていない。経済をまわしても、注意すれば新型コロナウイルスの感染はゼロになるという空気すら感じる。感染者が一人見つかっただけで、てんやわんやや井戸端会議の話のタネになるよう我文町なのだからもっと周知したほうがいい。経済を回さなければ死ぬのだから、新型コロナウイルスとの共存すると我々は選択したと、きちんと宣言ではないか。宣言しようがしまいが、おこる事象は一緒かもしれないが、そのあとのことが大きく変わる。

家に帰ると少しだけ汗ばんでいる。運動というには負荷が低すぎるがよい気分転換であった。仕事を始める。今日もずっと一人旅。半期が終わったので評価が動いている。どこの会社に行ってもあるものだが、自己評価というキモいシステムをなんとかしてほしい。オレなんて自己評価が低いに決まってるじゃないか。自分を客観視したいが、できるわけない。オレはいるだけでキモいんだぜ。そんなの先入観で評価さがるわ。ちくりと、マネージャーからはもっとなにかやってなかってですか?って言われたが、休職してたので今期から本気だすと、返答する。あーもー、そんなことよりよくある感じで、もうがんばらなくていいって誰かオレを諫めてくれ。
無気力朝会のあと地味なタスクをコツコツ消化。ちょっとだけコードを書くけどもうなにがなんだか。久しぶりすぎていろはも忘れている。ググってコピペを続ける。
お昼は賞味期限切れのトーストを三枚。ツナトースト。コーンポタージュ。限界に達したしなっとしたサラダ。トースト三枚がボリューミー! げふー。
午後は書いたコードの動作確認。思い通り動くのは楽しい。コードレビューしてもらいたが、なんといっても一人旅。レビューアーを見つけるのはコード書くことより至難であり、そしてその意味のない時間。レビューアーが見つかるまで待つしかない。待ち時間はムダだから減らすんだよ、とプロセス改善の初歩に書いてる。でも素敵な休憩時間としてつかう。未読チャットの消化。誰かのプルリクエストを見てみたり。インフラチームのオペレーションを見学してみたり。時間は潰せる。広く浅い情報を広範囲に収集するのがムダとはいわない。でももっと重要で優先度の高いモノがある気がする。まあ目標すら設定しないから、やっぱりないのかもしれないけど。
先日リリースした新型コロナウイルス対策のリモートサポート機能の追加プロジェクトのふりかえりにコーチとして呼ばれる。スプリントではないが毎週ふりかえっていたとのこと。スコープをプロジェクト全体にした。ただ、なんとなくうまく開発できていなかったような気がするとのこと。オレもそういう形骸化スクラムを経験してきたからわかる。現状のチーム開発の課題を指摘して対策を提案しても彼らは成長しない。自分たちで課題を発見し仮説をたてて、確実に実行してフィードバックを得る方法を理解してもらわないといけない。魚を与えるのではなく魚の釣り方をアドバイスしなければならない。それにしても現状のチームというかグループは心理的安全性がなさすぎてふりかえりできるのだろうか。なんとなくうまくいっていない、知っている人になにかアドバイスが欲しい、という段階のグループに何をアドバイスするのが効率的なのか。本当にPJのふりかえりが必要なのか、そもそも定例のふりかえりのふりかえりをやったほうがいいのでは。彼らの抱えている課題感がわからない。朝会で聞くか。

時短定時で退勤。雨が降っていないので、脳の仕事用OSのシャットダウンするために自転車に乗ろう。うまく手順が踏めない。なんとか準備して外を見るとザーザーぶり。そっとヘルメットを置く。心に降り続ける雨はやまない。
執筆作業をする。執筆を時間を短くしないとフルタイムでは働けない。日記の優先度はどれほどなのか。認知行動療法的な効果はあるだろうし、書いていても苦痛はない。日記だ。書きたいことを書けば良い。クソくだらないことも書きたい。無意味なことも。このように誰にも見られることのないオレだけが読み返しうる日記はその神聖さ故、すべてのクソが輝いて見えるだろう。好きでやっていることなら辞めることもない。
夕食は冷凍ご飯をつかってレトルト焼きビビンパ。ご飯二合に対して一合分のレトルト貧乏食い。しょうがとにんにくをマシマシに塩、しょうゆをちょいとたす。薄味だがうまし。
外をみると雨が止んでいる。オレの心にふる雨は降り止まない。食材の買い出しに自転車でハイパーマートにでかける。買い物袋はいつも持っていたが、なんやかや衛生的ではないだのなんだとの情報がすり込まれてふむむと考える。自転車をしまうために買い物袋を地べたにおいたり、酢の物お惣菜のバランスを崩すと大変なことになったりする。これを洗濯して忘れないように持っていくというのは自転車の準備の下手さからいっても困難だ。それにゴミ箱にセットする袋も買わないと行けない。買い物袋に少額払うのは合理性がある。半額商品を買い込み家にかえる。そして風呂にはいりストレッチと座禅というか瞑想。脳内がシャットダウンできていない。誰とも目を合わせない日は脳内ハングアップが多い気がする。抵抗ゼロの脳内回路が暴走する。他者の侵入をもっと受け入れないとなあ。
風呂上がりは軽くお酒。深酒しないようにする。ほぼオレンジジュースのミモザをグラス一杯。熱燗を一合。

フルタイムを意識して起きる時間を三十分はやめることにした。アラームを変更する。薬を飲んで早めに寝る。

7月8日(水)

やっぱり飲み過ぎである。アル中まっしぐらだ。頭が重い。スヌーズと戦いを一時間でけりを付ける。よくやったほうだ。だめだ、なにもする気がしない。洗い物以外はやろう。仕事着に着替えて、歯を磨いてひげをそる。湿度が高い。身体がべたべたする。燃えるゴミを出す。誰とも会わない。頭がふわふわする。オレはいま想像上の人物で存在していない。夢に違いない。食欲がないのでヨーグルトを少し食べる。今日はこの調子だ、さっさと仕事してさっさと退勤しよう。
いつもより早く仕事開始。BIツールの使い方をドキュメントにまとめて、興味のある方に共有する。データマイニングは暇なときにでもひっそりとやろう。ドキュメントを書くのがまあつまらないので都度都度休憩をとる。ベランダに出て灰色の空をみる。目に優しい。
お昼はお酒を抜くためにお風呂に。半身浴にして座禅を組む。無心になろうとするとパニックになるので徐々に練習。呼吸だけに意識するがやはり過去の黒歴史や失敗のことが想起してきて、わーと大きな声を上げてしまう。乗り越えてはやく無になりたい。風呂上がりはお布団ですこし横になる。飲み過ぎで身体のだるいことだるいこと。うつのだるさとは違う、とても身体性をともなっただるさだ。流体金属製ではなくずだ袋のような重さ。
午後は少し作業をして、ミーティングづくし。CRMチームとうちらのシステム開発VARチームの間でのデータ連携と開発方針の共有、相談。まあ人数が多い。内容は理解できるがCRMチームの真の目的が見えない。なんとなく良くなるからという程度にしか見えない。やったほうが良くなるのは間違いないだろうけど、なぜいま、そこに注力するのかの説明がない。互いのチームでWHYが共有できない。だから議論はない。ふーん、そう、という程度。主催者やリーダーが発言の多くを占める。WHYに共感できなければ困難を越えても進もうという強いモチベーションには結びつかない。仕事だからやる、という程度の非創造的なタスクになってしまう。なんとなく気分が落ち込む。
つぎはウチの開発チームの相談。なんのためのミーティングなのか、共有なのか議論なのか。何に困っていているのか。何を決定したいか。共有なのか議論なのか。オレが異界に迷い込んだのか。何も方針がない打ち合わせ。最初から最後までミュートの参加者がいる。主催者とリーダーががんばって発言する。若手は聞き上手で真剣に聞いているし、ベテランは興味なさそうに内職をしている。誰も議事録を取らないし、今の議論がなにをしているかも把握していない。突然、質問がとんできたので、文脈を忘れて回答すると、はぁ? どういうことです、という強めの返し。誤解がなんなのか質問をすると、誤解の上で議論していてその中でオレに質問が飛んできていた。オレはニコニコしながら、なんだ勘違いじゃないですかー、と大人の対応。自分が理解できないときは、どうやったら理解できるのかを言葉のやりとりで実装してほしい。例外を送出しても相手がキャッチするとは限らないぞ。吐き気がするし頭痛もしてくる。なんだろう、気づいてほしい、いろんなことがうまくいっていないことを。失敗していることに気づかないと改善もはじまらない。十二歳のオレと同じ程度になりさがってはいけない。みんな心を開いて!

時短定時で退勤。冷凍ちまきとお味噌汁。お風呂にはいる。身体がだるい。頭痛もまだ残っている。気合いで執筆作業をする。今日は否応なく休肝日。薬はのむけど。

寝る。

7月7日(火)

サイン、コサイン、タンジェント。躁鬱三角関数はいま完璧に底だ。底に違いない。底であってくれ。脳みそが酒で死んでいる。酒臭いとあやはどっかに逃げていく。オレは羽根を伸ばす。朝になっても脳は少ししびれている。連続飲酒してないっていう言い訳はしてるが、習慣的に飲むのもアル中なんだよなあ。今日のスヌーズストップ大戦は、二時間にも及ぶ。オレの枕元でこのまま遅刻しちゃえば、明日もずっと休めばいいし。傷病手当はまだでるんだよ。がんばらなくていいんだ。優しい女性の声。好き。好き。大好き。はっとなって、スヌーズを止める。危ないところだった。
朝の儀式をやっている時間がない。顔を洗い、ひげをそる。仕事着に着替える。やはり洗い物を避けてしまった。食洗機の導入も考えたほうがいいかもしれない。

脳みそがぼんやりしたまま仕事開始。今日は開発部全体の定例がある。どこかのチームで有料のBIツールを導入したらしい。興味あるなら使ってみるといいよとアナウンスがある。暇だし使ってみたいので手を挙げる。BIツールをつかって匿名化されたユーザーのライフログ、ヘルスログとアイソレーションタンクのパラメータと結果のユーザー満足度の因果関係を見つけようとしてみる。データのインポートからやる。ディメンションの設定。設定が Java プロパティ形式で設定値が多すぎてなにがなんやらわからない。英語のドキュメントを読みながらあーでもない、こーでもないとやる。設定変更する度にインポートをやりなおしたりして効率が悪い。効率は悪いなりにチャットでも消化しながらやる。
VARチームの沓掛さんからメッセージが届いている。新しいプロジェクトのスラムマスターいねーんすけど。もしかしたらオレにも居場所があるのかな、と思ったが、安請け合いは禁物。オレにとって一番大事なのは一日八時間働けることであって、誰かの期待に応えることではない。沓掛さんも優れたエンジニアで自分が集中して作業できるために、それ以外が得意な人と働きたいというモチベーションだろう。すごく分かるが、それはチームではない。得意不得意はあるのをチームメンバーと共有しながら最強のチームを自分たちで目指すことが大事だ。マネージメントとテックの分業が明確だけど、自律性をもったチームではその境界はもっと曖昧であると思う。
表面的なスクラムからオレはそういう気づきを得たが、多分オレがいま入ってもそういった根源的なチーム改善は簡単ではないだろう。納期優先のなかで不安を抱えたままコードをかかずにチームビルディングをできるか? できないし、オレもやりたくない。不確実でアウトプットが見えないモノを信用するだけの材料がない。オレは多くは語らない。語ったところで誰にもとどかない。必要ならお手伝いできると思うので呼んでください、とプロジェクトマネージャーにメッセージを送る。
疲れた、今日の仕事は終わる。

運動不足、睡眠の質も悪いのかぼんやり感。風呂にはいってもとれない。ここはどこでもない。お酒を飲みながら、少し執筆作業をする。自己が動かなければ世界に動きはない。出来事を並べる。出来事への感想もひねり出さなければでてこない。ここがうつの底ならかまわない。なにも期待しない。明日、またなにかあるだろう。ほどほどに執筆を追える。
NHKオンデマンドなつぞらをみる。NHKの朝ドラは物語の定型として見ておく分には損はないと思っている。型を破り、自分の型を見つけるためにはいつも定型を意識する。現代においてこそ、ベッタベタで飽きもせず消費できるコンテンツを心底、理解しなければならない。一昔前は日本文学全集や世界文学全集を読んでいない作家は作家とすら認められなかった。小説は年代順に消費されている時代があった。しかしそれが不可能な世界がくる。指の数では足りない名作ができると名作をすべて追うのは不可能になる。小説の外の世界が生まれる。作品に対する前方参照、後方参照を外部の世界がになうようになる。作品は完全に同時代的に解釈されるものではなくその時々で自由に解釈できるようになる。たかだか、ここ二十年の話だ。でもそれは誤解されることになる。どれだけ多く読まれるか、そして面白か面白くないかという結果だけで語られる空間。受容者とAIだけの世界になり小説は死んだ。でも、その種の典型的な小説の死は好機ですらある。ニーチェが神が死んだと、宣言したように。ニーチェが神が死んだと宣言し、そのあと小説の世界は大きく動いた。閉塞した今、まさに動く時だ。そしして小説の死を再度目の当たりしたオレたちはNHKの朝ドラをみるべきだ。NHK朝ドラを過去から追っていけば定型の変遷がわかるので、貴重な資料となる。ただ一つ問題がある。NHKの朝ドラはみんないともたやすく結婚して子どもが生まれる。まあ、人が好きとか嫌いとか言い出したのは昨日今日のことではない。でもおかしいとは思わないか。あやはお酒が嫌いだが遠巻きにあきれている。あやは、でも嫌いだし、とオレを見て言う。そこは好きっていうところだろう、まったく。なつぞらもそろそろ終幕が近い。アートとしてのアニメと商業としてのアニメと感性を鈍磨させるアニメとしての手塚治虫への呪いと、いろんなサブテキストをちらつかせながら、どういう結末なのかが気になる。
そういえばエヴァの新劇場版を見ていなかった。とても良い作品だともっぱらの評判。時間もあることだし見てみよう。あやも帰ってきたので一緒にみることに。オレはお酒を飲みながら、あやはホワイトロリータとチョコリエール。甘いのちょっと羨ましい。エヴァだけに限らず、オレとあやはけっこう思い出が一緒のところが多い。映画をみながら旧作の話をしたり、美術、メカと兵器のきゅんきゅんポイントを共感しながら見続ける。あまりも盛り上がって「序」を見終わって「破」も見てしまう。お酒も進んでしまい時間をわすれる。やばいやばい、明日仕事だ。あやはチョコリエール全部たべてしまっている。少し残しておいてほしかった。

薬を飲んで、寝る

7月6日(月)

何でもない一日が始まる。やはり酒の量がコントロールできていない。二日酔い以前に悪心がひどい。意識を飛ばしたいならストロング系にしたほうが良いかもしれない。良くないが。スヌーズとの戦いは一時間あまり。罪悪感の限界まで引っ張る。仕事の準備をしなければ。あやが呆れたようにいう。本当にひどい顔、散歩でもしてきたほうがいい。ときどき、的確なアドバイスをしてくれる。なんか恥ずかしくてオレは黙る。定番ルーティン、洗い物を済ませるとあとはすんなりと提携作業は完了する。
勤務開始期限までには一時間たらず。あやのアドバイスどおり散歩にでかける。飛面川の堤防沿いを十五分ほど散歩する。なにもかもが自然でそのままで色がない。良くも悪くもなく、そのようにそれらがある。オレは数センチ浮遊してその世界とは微妙にずれており設置していない未来型の猫型ロボットっぽい。チョットしたズレなのだけれども。

勤務を開始する。チャンネルの未読を消化する。たいしたことは何も起こっていない。ボットがやりとりしているようなシンプルな会話とついていけない高度に技術的やりとりとエラーログとユーザー要望と。さっと読み飛ばして未読をゼロにする。休職中のリリース差分を追う。批評的なコードリーディングをしたくなるがやめる。いまは飲み込む。そこに思考リソースをさくと気絶しそう。思考リソースは有限である。いまどうしようもないなら現状理解にとどめたほうがよい。動いているのなら良い。良くないけど。部屋で独り言いい、チャンネルにポエムを投稿しつつコードを読んでいたら、自分の頭がおかしくなってきたような気がする。吐き気がする。休憩をする。観察する。少し胸が苦しいか。かといってどうしようもないしな。作業に戻るが集中できない。
早めにお昼をとる。ルクエでふかふかにした冷凍ブロッコリーをぶっかけたボンゴレビアンコ。レトルト生活のなかでも贅沢品である。さらに即席のコンソメスープをつける。食欲が薄いがゆっくり食べきる。
午後もリリース差分を読む。ひとつビッグバンリリースされている。コロナ禍の対策の一環としてアイソレーションタンクデバイスの状態と連動したチュートリアルとビデオ通話から使用までを案内する専用モバイルアプリにむけた Web API の新規リリース。いままでにはなかったアイソレーションタンクの管理オペレーターとのビデオ通話機能も追加されている。プロジェクト憲章のドキュメントをみる。アイソレーションタンクの利用ユーザーはヘルスケアへの関心がたかく感染症へのリスクを減らしたいと考えている。アイソレーションタンクという物理デバイスを使い回すので対策を強化するスタンスはビジネス上大事である、というストーリー。まあ、そうだね。でも実効性あるのだろうか。やらないよりはいいか。アイソレーションタンクのデバイスステータスはこれまでもとっていたが、さらに詳細な情報をとれるようになっている。組み込みエンジニアが特急でファームウェアをバージョンアップさせていた。組み込みには天才がいるという噂だがあったことがない。ビデオ通話についてはサードパーティーが提供するSaaSを利用する。ソースコードからだとシーケンスがみえにくい。インターフェース層が一貫していないので推測で追うのが難しい。シーケンス図でもあればいいのだがドキュメントにはない。自分の今後メンテする可能性がある箇所なので、ポエムのなかで助けを求める。あとオレひとりだけ入っているビデオ会議の URL をはっておく。だれかきたらいいな。すると、UI チームの奇才アオさんが入ってきてくれる。サーバーサイドの人じゃないのか。けど奇才アオさん、フルスタックエンジニア、最強である。おやつのカールをたべてたので、雑に相談にのれたらいいなあと、というゆるいスタンス。お菓子いいな。アオさんはフロント視点からシンプルに仕組みを説明してくれる。サーバーの実装はわからんけど、通話のための通信路作成を依頼してそのIDでやりとりしてるだけ。今回対応したWeb API 名で検索すると容易に想像つくっしょ、しらんけど、という難しく考えるな、物事はシンプルだと言わんばかりの回答。さくっと次にやればよいところが見えたので雑談する。アオさんは最近なにしてはるんですかときくと、次世代プラットフォームのセプトアギンタプロジェクトにフロント観点にかり出されたとのこと。フロントのことを一人で? そーなんだよねーと困ったよう。たぶん一人でできるスキルの持ち主だけど天才一人はよくない。いかにも発展性がない組織だ。ミドルエンジニア以上をスキルアップと未来の属人性低減のためにいれないとまずい。そのへんの話をすると、まあ、でも人が足りないから、業務委託のかたは来てくれるとのこと。次世代のコアとなる技術ををそんなんでいいんかいな……
正味、一時間ぐらい雑談をする。頭痛がする。事務作業を終わらせて定時に退勤する。

身体が重い。いつもよりは強い倦怠感。身体的にしっかり休めているはず。休職に至る道筋の初期症状を彷彿とさせる。ふとんに横になる。眠くはないが、身体は楽になる。意識を飛ばしたい。目をつぶる。
目を開けると二十一時。胃がよくない。左側頭部に細い頭痛。風呂にはいる。頭、首、肩が一体化したような感覚。重い。そして頭の中もどうもおかしい。空転という言葉で表現するのが率直ではあるが、その実態が異様。衝撃的なチャットメッセージ、言葉が断続的に頭のなかで内言語で繰り返される状態、またはそれらがバラバラに鳴って特徴のある単語だけが頭の中で泡のように発生しつづけパニックになるパターン。これらは今までにも何度もあった。だが今日は言葉にならない空転が続いている。言葉で世界を捉えることで安定した世界にいることができる。でも世界はただそこにそのようにあるもので言葉で分解できるようなものではない。言葉に対応づけられないイメージによって頭がいっぱいになってあふれている。目と口と鼻からそれらがあふれだしている。ドーナツの穴を大量に食わされているような苦痛。座禅を組んでみる。手が震えている。型にこだわらない。手はだらっと足らす。呼吸に集中する。ドーナツの穴がオレの胸を苦しくさせる。大きく息を吸い、吐く。視覚情報がなにかドーナツの穴を生み出している。目も閉じる。少しだけ安定する。五分ほど座禅する。ドーナツの穴には抗えない。だが少しだけ余裕ができた。
風呂をあがって、お酒を飲む。意志力はもう枯渇した。記憶を飛ばす方向で。POM ポンスパークリング 410ml ×24本 と安白ワインでなんちゃってカクテル、ミモザをつくる。ワインを少なくすればアルコール度数もへらせ身体にもやさしい。執筆作業を少しする。世界のゴミを排出する。

薬を飲んで寝る。

7月4日(土)

粘土の身体になったみたいに布団の上に寝転がる。朝を越えて昼、そのぐらいだろうか。身体が起きない。宅配便ですという声が聞こえて、寝ぼけまなこで這い出し玄関を開ける。お隣の玄関の前にいる配達員と目があう。そういえばチャイムがなってないや。赤面してしまう。急激に内的環境が変化したためにパニックになる。そっと扉をしめて布団にダイブして、脚をばたばたして何が起こったかを忘れる。本来内的世界では起こりえないことが起こってしまったので脚をバタバタさせてなかったことにする。とても難しいテクニックである。もういやだ。身体が重い。腹が減った。仕事もないし、予定もない。意識を飛ばしたい、寝たい。二度寝する。

目覚める。身体を起こす。二十一時ごろになっている。四度寝か、五度寝ですっかり夜。頭痛がする。目の奥が重い。頭のなかに流体金属が詰まっている。ため息をつく。胸が苦しい。おかしい。目をつむると夢をみていたことを思い出す。空港の長いコンコースを一緒に歩いている。とても親しい女性だが誰だか思い出せない。最後に握手をする。ハグしようとしたが相手に嫌がられると思い諦める。良くわからないがこれが永遠の別離だと知っている。オレは泣き出しそうになるが女性は少し微笑むだけ。大人びた女性、顔が思い出せない。
夢の契機はなんなのだろう。考えないようにはしているが仕事への失望感は大きい。働き慣れたチームを離れるのは怖いのかもしれない。うつがなくなっていくのを怖がっているのか。環境の変化はオレのパーソナリティ上好ましいことではない。まあいい、夢の中のオレは人間的だったしそういう感情がこの世界でも起こって欲しい。笑えもできないし泣きもできないし、嘲笑だけがあふれた世界。全員、AIかボットで置き換えられる人たち。もううんざり。