目が開かない。昨日も早めに寝ようとして結局お酒を飲んでしまった。お酒を飲むとやっと解放された気がしてうれしくなる。結果どんどん飲み過ぎてしまう。今日はやるべきタスクもある、ネガティブだが会社身体の後押し駆動で起き上がる。
少しだけルーチンワークをする。お皿を洗って、ベッドのお手入れ。数分の作業なのにやっぱりやってよかったとおもう。自分が何かを完了させた、という事実は思いのほか今日一日を生きる勇気になる。
仕事を始める。身体が重い。疲労ではないうつ性の倦怠感だ。疲労とうつ性の倦怠感の違いは、重力をどう感じるかの違いだ。皮膚の表面近くが重くなったように感じ、かつ物理的に重心がかかっている部分を中心に倦怠感を感じるのが意思で自由に対象部位を動かすことができるのが疲労性、首、型、胸部前面の圧迫感をともない意思で動かすことに強い抵抗があるのがうつ性の倦怠感である。今日のは完全に後者である。笹野マネージャーは基本的にはやったことを見える化するメンバーを評価する。だからオレはチケットににしたり、チャットにいろいろとやっていることを書き込むようにしている。くだらないこともチャットに書き込む。マネージャー向けというよりも自分がナニを考えているかを表明するためだ。オレの人となりをしっておいてもらえれば、初見のひとでも話しかけてくれるかもしれないし、初顔合わせのミーティングでも話しやすくなっているかもしれない。それにオレが一人で開発しているのではないと確信したい。それでオレは在宅になってからハードワークが過ぎるようになっている。見られていないからきちんとアウトプットしなければという亡霊に取り憑かれてしまった。その亡霊はオレを呪い殺そうとしている。オレは勤務時間に合理的な休憩を取ろうとしても、その休憩にストレスを感じている。死にたい。
午後は、バックログリファインメントのお時間。初心者スクラムチームのスクラムマスターとして支援する。事前になぜ、スクラムなのか、スクラムとはなんなのか、について説明した。あるいはそれがわからなくても実際にやってみて困って欲しいというスタンスである。沓掛さんは全員でこんなことをして何か意味がありますか、というスタンスできつい発言をする。技術やプロジェクトのすすめ方に対してイメージができているのだろう。質問の仕方があまりいけていない。自分が思っていることを明らかにせず、「それって意味があります?」という質問の仕方をするので相手はぎょっとしていまう。対話がに発展しない。「そもそもそれ意味があります?」は観点としてはよいが議論ではなく押しつけになってしまう。本人が意図するしないにせよ、それが質問を投げかけた相手を軽視するように聞こえてしまう語調も沓掛さんは損をしている。それをきちんと教えてあげた方が良い。エンジニアスキルは高い方なのだ、いまのままだとエンジニアスキルの高いがただただ人柄が良くない人と勘違いされてしまう。それはお互いに損だ。笹野マネージャーに1on1で何を話しているのか聞いてみよう。
結果、大人のオレはニコニコしながら内心カッカしている。スクラムをやりたくない人にスクラムを説明することに無力を感じる。オレがサイクリングがどれだけ楽しいものかをそのコンセプトから教えて、それに対象がなびかなかったら、次にわからなくてもいいから一回乗ってみようという。サドルの調整や空気圧の調整、シフトチェンジの説明をしているときに、自動車でよくないです?といわれたら、そうだね、というだろう。そこをこえて自転車の魅力を伝える必要があるだろうか。だって相手は代替案を見つけていてそちらにモチベーションがあるのだ。そちらでなにか困ったことや、そこで達成できない要求があるときにはじめて自転車が想像できるようになる。それでいい。ただ開発リーダーが沓掛さんだったていうことだけだ。スクラムではなく軍事的リーダーシップでよかったのだ。笹野マネージャーがその権限を渡すのをちょっと躊躇ったのが問題である。マネージャーの難しいところである。状況につっこまなければその人の人となりはわからない。わかったときには状況の真っ只中でいまさら変更もできない。
オレはミーティングが終わると現実の逃避のため小さなリファクタリングをやる。幸い、いろんなエンジニアが助けてくれる。結果うまくリファクタリングできた。モブワークはできなかったが、チャットによる非同期コミュニケーションで良い感じにタスクが完了できたのはコミュニケーションチャンネルのうまい使い分けになった。個人的には仕事で今日1つ良いことが達成できたのは助かる。
仕事の最後はスクラムマスターに就任しましたよという、プロダクトオーナーとプロジェクトマネージャーへの顔合わせ。顔合わせのはずが、全員が困っていますよ、ということを聞けた。これはオレの人徳だろう。みんな困っていると表明してくれたのだ、これはスクラムマスターの腕のみせどころである。困っていることを共有する場がないことと、各ロールが何を期待しているかわかっていないということだ。みんなが個人のコミュニケーション能力が高すぎるために、フォーマルな組織コミュニケーションができいのだ。リア充どもがあつまるからそうなるのだ。リア充が同種を嗅ぎ分ける能力やそのコンテキストを共有できない人間を人数にいれないのににている。高いスキルをもった個人エンジニアがプロダクトオーナーやプロジェクトマネージャーと対話してプロダクトを作り上げる。超速でプロダクトは完成しリリースできる。でも作ったエンジニアが去ると誰も保守、運用がままならない。リリースするまで全員がハッピーな開発であった。でもプロダクトの寿命は続く。
吐きそう。退勤する。
自転車に乗る。オレはだれにも自転車の素晴らしさを語りたくない。もう語りたくない。オレが好きなのだ。自転車ぐらいそうさせてほしい。オレは短パンTシャツのラフなかっこうのまま自転車に乗る。これぞポタリングのよいところだ。ピチピチした服なんて着る必要はないのだ。風が気持ちいい。ペダルが軽い。のんびりのんびりペダルを回す。仕事を忘れる。忘れられないけど。夕陽が綺麗。ミンミンゼミが少し鳴き、ひぐらしもすこし鳴く。蝉は生存戦略として鳴く時間をずらしているらしい。他の蝉が鳴いていない時間に鳴くことでメスにその声を聞いてほしいのだろう。世界に奥行きはないが、紙芝居のように背景が移動する。それは楽しい。山を越えるときだけ奥行きが生まれる。きっと左右に木々がたちならび立体感を感じられるからだろう。
家にかえると、風呂にはいる。お酒をのみながら執筆作業をする。この執筆作業はもう形骸化してしまった。変化はないのだろう。もうやめてしまってもいいのではないかと思う。習慣ということもできるが、惰性だろう。一ヶ月後、オレが自死するのならそういう物語として読むこともできるだろうが、オレは自死つもりもない。オチもないし、読む楽しさもない。日記ってなんでつけるのだろうか?
眠剤を飲んで寝る。