kowさんは天ざる大好き

創作に絶望すると、世界が反転した日記

6月7日(日)

身体は重いがなんでもない目覚め。前日や前々日とは違う目覚めであることを執拗に確認したくてぼんやりした頭で自己診断をする。億劫な程度に身体は重いが気合いで起き上がれない訳ではない。問題ない。外を見る。空は青く同じように灰色。同じように。昨日と同じように。一週間前と同じように。微視的な変化はしているんだろうけども観察ができない。自己診断に絶望して身体を起こすのをやめる。

目を覚ますと十七時。身体は何者かに押さえつけられているように重い。占領地域に丸一日ちかくもこもっていればエネルギーが低下するのは仕方ない。部屋と同化が進んでいる。これが進むと自己が拡大して創作向きの体質に変化する。社会的ゾンビになる。ゾンビは少しだけ生きていた頃の記憶がある。それがやっかいだ。
起き上がる。空腹というより何かを食べたい。冷蔵庫からヨーグルトを取り出し食べる。全身を見えない膜が覆っている。すべてが少しぼやけ、音がくぐもって聞こえる。このまま完全な繭になって羽化するまで部屋からでたくない。本能がそういうがオレは拒否する。

日が落ちかける。自転車をこぎ出す。羊鳥ヶ岳の裾を縫う平坦な道路をゆっくりと散歩する。羽虫ががんがんぶつかってくる。ナイトライドでもエアロシールドをつかうシーズン到来。小さい虫でも皮膚に接触すると覆っていた繭をあっというまに取り去る。オレに身体があってよかった。空気もひんやりしていた。

かえりがけにパイパーマートにより適当にお惣菜をかう。最近はハイパーマートでもマスクがうっている。武漢でウイルスが拡大していたころを思い出す。日本での感染も避けられないと誰もがいっていてそして三ヶ月後に慌てふためきながら対策していた。日常は繰り返す。昨日のことをわすれて、また新しいことのように繰り返す。三ヶ月おきにマスクを気にして手洗いを気にしてソーシャルディスタンシングをきにしてそして忘れる。個人は観測できなくなり、群れでしか観測できなくなった人々は危機的状況まで個を取り戻すことをせずに学習すら放棄する。

死とはほど遠いほどに、なんでもないことがとても不安。